ラブソングができるまで
わたしさ、ハリウッド映画って、これまであまり観てこなかったんだよね。
もちろん、誰かと一緒にたまに観るハリウッド映画は、めちゃめちゃ大好き。
「いやぁ~、わたしさー、ハリウッド映画って、なんか”大味”ってイメージあって? 普段ひとりではあんま観ないんだよねぇ~」とかいいつつ、実際観ると、一番一喜一憂して、一番楽しんでるの、結局わたしだったりする(笑)
ただ、なんだろ、わたしが「映画」に求めてるものって、必ずしもそれだけじゃないっていうか。。。
夜中、真っ暗な部屋で、ヘッドフォンで、ひとりで、作品と自分の一対一で、がっぷり四つに組んで観る映画、みたいな……そういう土俵で、沁みてくるエッセンスを求めてたりする自分もいて。。。
わたしが希求してる、そういう部分を満たしてくれたのって、経験的にはちょっと脇道に入った系(?)が多かった気がするっていうか。。。あくまで経験則として、だけど。
でね、でね、そんな、ハリウッド映画に対するわたしのしょーもない偏見を、見事に打ち破ってくれた作品があって。
それが『ラブソングができるまで』(2007年,米)っていう作品なんだけど。
これさ、わたし、たまたま、DVDで観たんだけど。
もぅ、めちゃめちゃ好き!!! 大好き!!!(≧▽≦) もう、好き過ぎて、何回観たかわからんくらい好き。
好き好き好き好きただ連呼しててもコミュニケーションにならんので、「好きな理由」らしきものを熱く・暑苦しく(笑)語ってみるよー!(まあ、好き嫌いに、本質的に理由なんてないかもしれんけどさ…)
読んだ方が若干 ぽか~ん…(゜。゜i) てなるの承知で(笑)、スキスキ全開、フルスロットルでいきまっせぇ~o(炎∇炎)o あ~ゆ~れでぃ?
で。。。
以下には、ネタバレを含……
的なことを書こうとして思ったんだけど、、、
この「ラブソングができるまで」って邦題自体がある意味ネタバレだよね(笑)(原題は『Music and Lyrics』)
ヒュー・グラントとドリュー・バリモアが並んで「共同作業してます~」的なメインビジュアル(DVDパッケージとかの)がダメ押し(笑)
なんかもう、この段階で「ヒュー・グラント演じる男主人公と、ドリュー・バリモア演じる女主人公の絡みで、ラブソングができるんやな~」っていうのは、おぼろげながらわかりますですね……(^▽^;)
まあ、そんな状況ってことで、(開き直って)豪快にネタバレしていくので、新鮮な気持ちで先入観なく『ラブソングができるまで』を観たいなと思われる方はご注意ください。
個人的には、すでに何度観てて、ストーリーもネタもすでに全部なぞってても、それでも、観るたびに味わい深く、しみじみ「いいなぁ…」と感じられる系の作品って気はしてる…
でもそれはあくまでわたし個人の見解なので、やっぱり先入観なく観たいという方は、以下、ご注意を。
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は~じま~るよ♪ OK?
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この作品の好きなところ、もう、挙げ出したらキリないくらいいっぱいあって……とにかく思いついた順に、片っ端から挙げてくね。
まず、なんといっても最終的に完成するラブソング「Way Back Into Love」。この曲、すごい好き(≧▽≦)
これは…「盛大にネタバレやります」と宣言はしたけど、この曲のリンクはあえてはらない。
この曲は、物語の進行とともに、少しずつ出来上がっていく過程を味わってほしいな。すっごいいい曲だと思う。ストーリーと重ね合わせるとひとしお(T-T)
女声と男声の絡みとか、韻とかの響きもすごく美しい(≧▽≦)
「Way Back Into Love」はバラードだけど、劇中にいろんな毛色の、さまざまな音楽が出てくるのもすごくたのしい♪(^-^)
それから……ユーモアの質、そのバランスかな。このあたりもめちゃくちゃわたし好みだった。
会話(原文)のなかにちょぃちょぃ、”余計なひとこと”的な位置づけで、つぶやきみたいなセリフ(ユーモア)が挟み込まれてるんだけど、それがなんかもう、いちいち効いてる感じで(≧▽≦) 冷奴にミョウガ的な? スモークサーモンのサンドイッチにケイパー挟まってた的な?
レシピの表記では「(適宜)」とか「(あれば)」とか書かれる扱いなのかもしれないけど、それが入ってるのと入ってないのでは、もうまったく別モノっていうくらいの風味の違いっていうか。
とにかく、そういう類の、地味に、かつ、しっかり効いてくる感じの、下品でないユーモアで。
オープニングに、男主人公がアイドル時代にリリースした曲っていう設定の、80年代ポップス風の曲(?)が流れるんだけど。
そのプロモーションビデオっていう設定で、80年代っぽい雰囲気で映像がつくりこまれてて。すごい凝ってるんだよね。で、そういうのってさ、真面目につくりこんであるほど、味わい深いおもしろさがじわじわくる感じしない?(笑)
でね、でね、そんな感じで、オープニングからすごいんだけど、エンドロール、これがまた、おもしろいの!! 必見!!! 「あー、終わった」ってDVD即イジェクトしないように!
で、全体的なことをいうと……
全体的には、コメディタッチのラブロマンスぽい雰囲気なんだけど。
濃厚スゥイ~ト*フォンダンショコラ!って感じの甘さじゃなくて。でも、しっかりロマンチックで。
逆にいえば、ロマンチックな基礎部分がものすごくしっかり構築されてるから、特段甘く仕上げる必要はなかったのかもしれない。ロマンチックな基礎っていうのは、ラブソングの部分ね。
あと、間の取り方とかも、いいなって思った。
キスしそう~キスしそうぅ~~キスしそうぅぅ~~~からの (゚∀゚) みたいな? 上げて~↑上げてぇ~↑↑盛り上げてぇぇ~↑↑↑ ズラす\(゚∀。 )/ みたいな?
なんか、そういう間の取り方みたいなのが、すごく心地いい感じで。
男主人公と女主人公が終始噛み合ってない感じとかも、なんか、みててすごいおかしいんだよね( ´艸`)
男主人公が作曲を担当、女主人公が作詞を担当してラブソングをつくるんだけど。その過程で、「歌(作品)をつくる」ということに対する、ふたりのスタンスの違いみたいなものが見事なまでに露呈してて。
男主人公が「とにかく金曜日、金曜日までに、クライアントの意向に沿った及第点のものを」みたいな感じで終始セカセカしてるのに対して、女主人公は「インスピレーションが~」みたいなノリで。
女主人公がキラキラした目で
「(人間関係にたとえていえば、)メロディは、第一印象。フィジカル。セックスみたいな関わり。でも、それから内面を理解し合おうとするなら、詞。そのコンビネーションがマジック。」(←あいまいな記憶。正確なセリフは忘れた。すんません。)
みたいな自説を語る場面があるんだけど。それを聞いてる男主人公の
(それはよくわかったから、とりあえず金曜日までに…)
みたいな表情が、すごいおかしくて…( ´艸`)
でも、なんだろうね……ラブソングが出来上がっていくその過程とか、出来上がったラブソングとかをみてると、作品づくりも、恋愛も、そういう異なるふたりだからこそいいのかな……って、ナチュラルに感じられるんだよね。
それから……
とくに好感がもてたのが、人物の描き方がものすごく多面的っていうか…そういうところ。
高い位置1点にカメラ据えて撮る、みたいな感じじゃなくて、いろんな角度から登場人物を描いてる感じ? かつ、その視点がフラットっていうか。カメラワークの話じゃないよ。裁いてるような視線じゃないっていうか。そういう話。
あと、キャスティング。
今をときめく若きカリスマ女性スターが、男主人公にラブソングを発注するっていう設定なんだけど。
このカリスマスター役のヘイリー・ベネットっていう女優さん、めっちゃナイスキャスティングだと思った。
この女優さん、『ラブソングができるまで』では、ふわっとした印象のスピリチュアル系(?)ナチュラルキャラで、見事にハマってるんだけど。(ナチュラルメイク×腰骨がハッキリみえるセクシーお衣装のショットもあるでよ~( ̄∀ ̄))
この女優さんが出てる他の映画『カブーン!』(2010年,米)を観たら、そっちはガチのクレバーキャラで、かなりシャープな印象にバチッと決まってて。ヘアメイク違うだけで、こんなに印象変わるんだって、ちょっとびっくりしたんだけど。
よく考えてみると、ヘアメイクとかで、ナチュラル&ユニークな雰囲気を演出しても、かすかにどことなくクレバーさを感じさせる容姿とか雰囲気って、この女優さんが本来持ってるものなんだろうなと。
そういう女優さんでなければ、このカリスマスターのキャラクターに、ここまで説得力は出なかったのかも…って。なんか、そう感じた。
わたしは芸能関係とかそういう業界のことに明るいわけじゃないから、詳しいことは当然わからないんだけど、単純に映画の観客としてみてて「ああ、なるほど、売れるひとって、きっとこういうひとなんだろうな…」って、なんか説得力あったっていうか。
あと、歌もすごいなって感じた。アップテンポのダンスナンバーからバラードまで、幅広い劇中歌を透明感のある高音ヴォイスで見事に歌い上げてるし。(女優さんなのに!)
セクシィなダンスも素敵ょ(/ω\*)
あと、キャスティングっていうか……疑問なんだけど。。。
ネットの評判みたいなので「さすがヒュー・グラント、ダメ男を演じさせたら天下一品☆」的なご意見を結構みたのだけど、ヒュー・グラント演じる男主人公、これダメ男なの???(?_?)
わたしには、めっちゃ仕事できる業界人のおっさんにしかみえないんだけどw
アイドルとして一発当てた後は、着実に身の丈のご商売なさってるようだし、女に寄生してる様子もなさそうだし。。。
確かに、女には不自由してなさそうな独身貴族っぽい雰囲気だけど、派手に遊びまわってるような描写もないし、女主人公の元彼のように女をだまくらかしてたらしこむようなタイプではなさそうだし。。。
確かに、二枚目でありながら、三枚目に近い二枚半目(?)的トホホキャラだけど、それって、「ダメ男」とはちょっと違うよね???
「あの人は今」的な立場にあっては、二枚目キャラに固執しないのがデキる男の振る舞いっていう気もするような。。。
クライアントのイメージ戦略を初期段階で的確に見抜いてるし、実績のある男性作詞家のテイストよりも、無実績の素人女性の感性のほうがクライアントのイメージに近いと即断して即行動してるし(その読みは結果的に当たってたし)、女主人公がたった一度口走っただけのフレーズまで正確に記憶して、短期間でそれに曲つけて即興演奏とかしてるし、恐ろしく仕事できる頭キレキレ有能男にしか見えないんだけども。。。
てか、むしろ、ダメっ子キャラ設定なのは、女主人公のほうっていう気が。。。
ドリュー・バリモア演じるアラサー女のイタさ、すっごい身におぼえある(笑)
あとね、全体的な構成も、いいなあってしみじみ感じる。
男主人公と女主人公の抱えてきた、日常ではシリアスな孤独として表現できないような孤独とか。
挫折ともいえないようなささいなことだけど、トゲが深く刺さったように根深くそれ以後の人生に影を落すような、挫折未満の小さな不全感の経験とか。
そういう孤独同士が、少しずつほどけて絡まっていく感じ、それが、徐々に完成していくラブソングに反映されていく様子が、なんかすごく好きなんだよね…
男主人公が、女性クライアントと女主人公との関係に、かつての自分とパートナーの影を重ねあわせる場面とか。
女主人公がうまく表現できない自分、その部分を表に引き出すために、男主人公が自ら手を汚してまでヘルプする場面とか。そしてそれが反転する場面とか(今度は女主人公が、男主人公の内面を表に引き出す)。
その、鏡みたいな相互作用の感じに、じんわり感動してしまう。
ずれたまんま、いまいち噛み合わないまま進んでゆく主人公ふたりだけど、「ふたりはもう孤独じゃない」ってことを、こんなふうに描くことができるんだなって、なんか感動する感じ。
男主人公と女主人公を抱き合わせるだけでは伝わらない部分が伝わってくる感じかなあ。
あと! あとね!!
女主人公の提案で、これまでのふたりの人生を分かち合おう(?)的なことする場面があるんだけど。そこで、男主人公が過去にリリースした自分のCDを店頭で手にとって女主人公に見せる場面があるのね。
そんときにね! CDの棚にジョン・レノンの『Acoustic』ってCDが(逆さまになって!)映ってる! 地味に必見!!(^皿^) (……まあ、どうでもよかったね・笑)
ちなみに……
この映画の原題が『Music and Lyrics』で、80年代のフランス映画に『Paroles et Musique』っていう作品があったから、関係あるのかな?と思って観てみたんだけど……とくに関係はないっぽかった。。。
全然関係ないけど、この劇中歌↓が、ノリノリ♪\(^-^)/でめっちゃ好きだった。
カトリーヌ・ドヌーブ美しい。。。
子役で出てるシャルロット・ゲンズブールがめちゃかわい~(´∇`)
最後にひとつ…もし分かる方がいらっしゃったら教えていただきたいことなのだけど……
『Music and Lyrics』のサントラCDにね、
「Different Sound」って曲が入ってるんだけど。
劇中のどこにこの曲が使われてたのか、わたしにはどうしても見つけられなかったんだよね…(>_<)
ウォーリーをさがせ、じゃないけどさ、どの場面に使われていたか分かった方がもしいらっしゃったら、メッセージ等々で教えてちょ(・∀・)
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