しがみつくとすがりつくはちがうのか、な?

前に、向田邦子氏の随筆を読んでたとき、さりげなく「獅噛み付く」という表記が出てきて、ハッ とした。

普段から、何の気なく「しがみつく」って、語源にも思い及ばず、本当に、なにげな~く使ってきていて。ともすれば「縋り付く(すがりつく)」と言い換え可能な言葉のように扱っていたけれど……。


こう、「獅噛み」と漢字で表記してみると、舌に載せたときの味わいがまったく異なってくる感じする。

獅噛み獅噛み獅噛み付く獅噛み付く……普段使い慣れた言葉を、改めて味わい直してみた感じで。何か新鮮だった。


「しがみつく」と「すがりつく」。

要は、しがみ(すがり)付くものと付かれるものの、力関係の差に、相違があるのかなあ。

わたしが強ければ、否、弱くなければ「獅噛み付く」。

わたしが弱ければ、「縋り付く」。


むしろ、しがみ(すがり)付かれるものの意向のほうに、相違があるのかなあ。

縋り付かれるものには、明確に離別の意思がある感じもするな……。